コラム “志・継・夢・承”
事業承継やM&Aにまつわる思いを
気ままに綴っています

2021年

おじさんだけの取締役Vol.31

みなさんの会社の取締役は、‟おじさん“だけだったりしますか?
というのも、先日、2月18日付の日本経済新聞に『多様性に関するお詫び~弊社の取締役が3人のおじさんだった件について~』という見出しで、サイボウズ株式会社が全面広告を掲載しました。サイボウズは、みなさんご存知の通り、社員のスケジュール管理や社内掲示板機能を提供する“Office”や
“kintone”といったグループウェアを開発している上場企業です。これまで、同社は、働き方改革や多様な個性の尊重を主張してきたにもかかわらず、自社が多様性のある職場を実現できていなかったのでお詫びということです。確かに、改めて見てみると、1971年生まれで49歳の青野社長、他の2人の取締役も49歳、53歳とまだ若いとはいえ、おじさん3人だけの経営陣でした。ということで、同社は、おじさんだけの取締役から脱却するべく、“みんなで取締役”をやってもいいのではと、次期取締役を社内公募したところ、昨年入社の新入社員、女性、海外在住の社員など17名が立候補したとのことです。

このウイットに富んだ、自虐的ともいえる広告の本来の趣旨は、必ずしも、お詫びではなく、会社の考えやありかたを共有するため、また、社会に対するメッセージとして、あわせて告知された、株主以外の人も参加できる『株主会議2021 -サイボウズと語る一日-』という場を広く知ってもらうことにあったようです。

このユニークな試みに好奇心を刺激され、私も、株主総会ではなく、『株主会議』なるものに参加してみました。『新しいカイシャを語る』『サイボウズのこれまでとこれからを語る』『みんなでサイボウズを語る』という3部構成、3時間半ほどの会議でしたが、私自身、経営者としても、“おじさん”としても、非常に示唆の多い時間であり、気持ちのいい会議でした。

そもそも、サイボウズは、社長のスケジュールやマネージャーの交際費、全社戦略の議論のプロセスも社内でオープンにするほど透明性の高い会社ですが、透明性を徹底すれば、社外取締役すら必要ないはずと考え、自由で柔軟な会社であり続ける、また、あり続けようとする姿勢に敬服します。一方、開示義務や規制、ガバナンスでがんじがらめに縛られた上場企業に比べたら、本来、もっと自由であるはずの中小オーナー企業は、その“自由”を謳歌できていない、有効に活用できていないといえます。

今回、オンラインで開催された『株主会議』は、サイボウズの約25.000人の株主からは約500人が参加し、株主以外の人が1,000人以上申し込んだそうで、むしろ、株主以外で『会社のありかたを共有し一緒に考えたい人が集う場』になったといえます。

これに倣い、中小企業こそ、株主に加え、親族や社員、さらには第三者でも会社のことを一緒に共有し考えたいという人が集まる場、事業承継も含め、会社のこれからを自由に語り、考える場が必要ではないでしょうか。中小オーナー企業こそ、もっと自由に考え、動くためにも、『株主会議』が必要だと考えます。

もし、『うちでもやってみたい』と思われた、オーナー経営者がいらっしゃれば、損得なしで、企画、提案、参加者として加わってみたいなと思います。一人で踏み切るのに躊躇される経営者がいらっしゃれば、ぜひ、お気軽にお声がけください。

以 上

<真>
2021年3月

神のみぞ知るVol.30

2021年、新しい年を迎えました。

2020年は誰にとっても想定外の1年でしたが、コロナとの戦いはまだ終わってはいません。特に、今年は、オリンピックは開催されるのか?ワクチンは有効なのか?いつコロナは収束するのか?といった不確定要因が多く、経営者の方は今までにないほど悩みながら、意思決定を重ねる年になるでしょう。

年末年始は、みな帰省もせず、初日の出はライブ配信、福袋はネットで予約購入など、いつもとは様変わりの風景となりました。とはいっても、オンラインでの初詣はどうなのかな・・・とは思うところです。

昨年、コロナの感染者数の動向に関して、『神のみぞ知る』という、政治家の発言が物議を醸しました、もちろん、無責任に口にされては困る言葉ですが、ただ、悩みに悩んで、やるべきことをやり尽くして、極限ともいえる領域に達して決断したなら、あとは『神のみぞ知る』と言いたくなる気持ちはわからないではありません。『人事を尽くして天命を待つ』とも言いますし・・・。

一つの重い判断を下すということでは、オーナー経営者にとっての“事業承継”という決断も同じです。息子に任せられるか?親族外の誰かに承継できるのか?M&Aより廃業したほうがいいのか?今やるべきなのか?など、決断に至るまでには迷いは尽きません。ただ、経営者として悩みに悩んだ末に行き着いた答えであれば、それが最善の決断であるはずです。

後を託された社員の皆さんも『社長が決めたことなら』と、その意志や想いをわかってくれるはずです。もちろん、想いのすべてをすぐに理解するのは難しいかもしれません。でも、その後、会社がより良くなっていくに従い、先代が選んだ答えの真の意味を理解し、不安や惑いといった想いのすべては感謝に変わっていくはずです。そして、その答えと理解にまでたどりつけるかどうかは、社員の皆さん自身の意識と努力次第でもあったりします。

事業承継にあたっての決断に絶対の正解はありません。もし、後々、後悔の念がよぎったとしても、決断した瞬間には正解であったはずです。その決断を正解とし続けるのは、オーナー経営者の責任や力量ではなく、もはや、受け継いだ人たちの責任と努力に因るものとなります。だから、何が正解か、誰にとっての正解か、いずれにせよ、事業承継の決断が“正解”だったのかどうかは、まさに“神のみぞ知る”ことなのです・・・というと、物議を醸すでしょうか?我々、事業承継ファンドの仕事は、その決断を“正解”にすることでもあります。

今年も、経営者には、いろいろな決断が迫られ、悲喜こもごも、さまざまなドラマが展開されるでしょう。今年はどんなドラマを描けるか。新しい出会いがあるか、楽しみです。どのような出会いがあるかは“神のみぞ知る”ですが、人と人との出会いが減った今こそ、人との出会いを大切にする1年にしたいです。

以 上

<真>
2021年1月