2011年12月22日
JPE・プライベートエクイティ3号ファンドが事業承継投資
株式会社ワタナベの"第2創業"を支援
日本プライベートエクイティ株式会社(以下、「JPE」)は、中堅・中小企業の事業承継や事業再編を支援するMBO(Management Buy-Out)ファンド「JPE・プライベートエクイティ3号投資事業有限責任組合」(以下、「JPE3号ファンド」)より、株式会社ワタナベ(本社:新潟県燕市)に投資を実行し、同社の100%株式を譲り受けました。
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本件概要
株式会社ワタナベ(以下、「同社」)は、1990年に渡邉英作氏が金属板金加工を個人事業として創業、以降、金属加工機械や包装機械、半導体製造装置、食品製造機械等の幅広い分野の金属部品においてステンレスを中心とした板金加工を手掛け、着実に業績を拡大してきました。
同社は、地方の中小企業という位置付けにありながらも、"ものづくり企業"としての技術力向上を重視し、積極的に人材や新鋭設備への投資をおこなってきたことで、精密板金加工分野における同社の技術力や製品の完成度は幅広い業種にわたる全国各地の企業から高い評価を得ています。
今般、同社は、会社設立20年という節目を迎えたことを契機に、JPEが運営する"事業承継ファンド"を活用して、社外から資本と人材を受け入れて経営体制を強化し、事業承継問題を解決すると同時に、これからの20年を見据えて人材や設備への投資も積極的に進め、さらに業容拡大を図ることを目指しています。
「JPE3号ファンド」は、同社が財務的にも経営的にも健全な企業であることはもちろん、幅広い分野の顧客から信頼を得ている実績と、若い世代を中心に日々研鑽されている同社の技術力を高く評価しました。今後は、JPE3号ファンドから派遣する社外役員も含め、内部昇格により就任した新社長を中心に、営業基盤の拡大や内部体制の強化に取り組み、同社事業の発展を全面的に支援しながら、"開かれた企業"として次のステージに向けて躍進することを目指します。 -
会社の特徴
同社は、ステンレス材を主体とした各種精密板金加工において、"量産品"ではなく、難易度の高い"一品もの"の部品加工を中心に、設計開発から板金、機械加工、切断、曲げ、溶接、研磨、装置組立までの緻密な工程管理の下での一貫生産体制を実現しています。溶接や研磨技術といった技術力はもちろん、ステンレス専用加工工場を有し、難易度の高い製品の提案や高付加価値な製品の生産を可能としています。
同業他社では機械化が進むと同時に技術者の高齢化や技術力の低下が課題となるなかで、同社は、平均年齢27歳と若い優秀なプロパー技術者の育成に注力しており、機械に頼らない、人手による"匠(たくみ)"の技術を基盤として、中小企業から上場企業に至るまで多様な企業規模の顧客を幅広い地域に抱えています。一方で、営業という観点では、自動車、半導体、液晶、医療、食品、燃料電池等、業界を超えて、各分野の展示会への出展を積極的に続けており、様々な分野における高度な加工ニーズに、技術力の強化や設備機械の積極的な導入、人材育成で対応しています。
また、同社は、ファイバーレーザー溶接機による「異素材溶接」技術の研究開発にも積極的に取り組んでおり、自動車部品、半導体製造装置、医療機械、食品機械等の新製品開発や軽量化を求める企業をはじめ、各方面から期待が寄せられており、市場そのものの拡大も見込まれている分野となっています。
同社技術をベースとした製品へのニーズが幅広い分野に広がり、需要が高まっていることからも、事業承継後の新しい経営体制の下では、生産能力の増強と効率化を目的とした新工場増設についても計画しています。 -
中小企業における円滑な事業承継のモデルケース
同社のように、財務体質は健全で事業も堅調な優良企業でありながらも、後継者問題に悩んでいる中小企業が増える一方、"ファンド"を活用して事業承継問題の解決に取り組む事例はまだ少ないのが現状です。こうした問題に対して、中小企業庁をはじめ、国を挙げて事業承継問題への取り組みがなされつつありますが、本件は、M&Aによる事業売却ではなく、ファンドを有効に活用した事業承継の事例として、後継者問題に悩む多くの中小企業やものづくり企業に対して1つの解決策を提示したモデルケースであるといえます。
また、昨今、日本の製造業のあり方や地方の中小企業の存在意義が問われるなか、本件のように、地域に根差したものづくり企業がファンドを活用して事業承継や事業再編に取り組むという事例は、地場産業の業界再編や事業存続による地域活性化といった観点でも示唆に富むものになると思われます。 -
JPE3号ファンドについて
「JPE3号ファンド」は、中小企業の事業承継や事業再編を資金面と経営面から支援するため、株式会社日本政策投資銀行や株式会社日本M&Aセンター、日本アジア投資株式会社の出資を得て、設立いたしました。ファンド設立以来、オーナー企業の事業承継や大企業の事業再編ニーズに対応し、中小規模の案件に特化したMBO(Management Buy-Out)ファンドとして、中小企業の事業継続と企業価値向上の実現を支援しています。
本件投資は、JPE3号ファンドとしては4社目、JPEとしては19社目の出資となりますが、昨今の厳しい経済環境下で日本の中小製造業の地盤沈下や空洞化が懸念されるなか、JPEとしては、引き続き、"匠"の技術を有した中小企業や日本に残すべき"ものづくり企業"の事業継続と発展を支援していきます。本件につきましても、業界には中小規模の会社が多く、オーナー経営者や技術者の高齢化が進んでいることからも、同業種や異分野の中小企業との資本提携や業務連携も積極的に進めたいと考えています。 -
各社概要
株式会社ワタナベ http://www.hq-watanabe.com/
本社所在地 新潟県燕市杉名941番地 設立 1991年7月 資本金 30百万円 代表者 松井 宏伊 従業員数 34名 事業内容 各種産業用金属部品の精密板金加工 日本プライベートエクイティ株式会社 https://www.private-equity.co.jp/
本社所在地 東京都千代田区九段北1丁目14番21号 代表者 法田 真一 資本金 60百万円 事業内容 中小企業の事業承継や事業再編を対象としたプライベートエクイティファンドの運営、コンサルティング -
本件に関するお問い合わせ先
日本プライベートエクイティ株式会社
東京都千代田区九段北1丁目14番21号 九段アイレックスビル6FTel:03-3238-1726 Fax:03-3238-1639
担当: 企画部 (info@private-equity.co.jp )以 上