2007年6月25日
TAKUMIファンド 地方の優良企業の事業承継を支援
日本アジア投資株式会社(以下、「JAIC」)グループの日本プライベートエクイティ株式会社(以下、「JPE」)とインテグラル・インベストメント株式会社(以下、「インテグラル社」)が運営する、中堅・中小企業のMBO(Management Buy Out)投資に特化した「TAKUMI継承ファンド」(以下、「TAKUMIファンド」)は、森長電子株式会社(本社:石川県金沢市、代表:山本正社長)の事業承継を支援します。
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本件概要
森長電子株式会社は、1973年に官公庁や地方自治体等のシステム化の支援をおこなう技術者集団として設立され、現在では、全国の官公庁、地方自治体、公共企業法人、民間企業向けに耐雷システム・電子応用システムの開発・販売・施工等をおこなっています。
同社は、同族経営からの脱却を図り、3年前に非同族の後継社長に経営を委譲、経営面での事業承継は進んでいたものの、資本面での継承および株主構成の見直しが必要とされていたことから、TAKUMIファンドが、同社の大株主であった名古屋中小企業投資育成株式会社をはじめとした既存株主から株式を譲り受けることで、同社の事業承継の完遂を支援しました。
TAKUMIファンドは、同社の安定性や収益力に加え、その技術開発力や将来性を高く評価しており、今後は、現経営陣と一体となって、同社の企業価値向上に取り組んでいきます。 -
会社の特徴
当社の本社所在地である北陸地方は、世界でも有数の"激雷"地区であり、雷が原因で電気設備に障害が生じる"雷害"が深刻な地域ですが、同社は1981年から耐雷システムの開発を手掛け、地元での実践的な雷害対策とフィールド研究から独自の「サージエネルギー減衰方式」を開発、同社の避雷ユニットは、全国の官公庁や地方自治体、放送局等、国内外の多くの電源設備や通信システムに既に採用されており、その高い性能については実証されています。
また、近年、電子技術の進歩による高集積化や高機能化が進むに従い、まさに社会そのものが電圧や電流の変化に脆弱になっていることから、社会を守るための防災の一環として全国的に雷害対策への関心が高まっており、耐雷システムのパイオニアとしての同社にも注目が集まっています。 -
事業の展開
今回、TAKUMIファンドは、同社のこれまでの実績と技術開発力を高く評価するとともに、システム開発設計からメンテナンスまで顧客を重視したソリューション企業としての姿勢を高く評価しており、今後の国内市場拡大への対応のみならず、同社のグローバルな事業展開や新市場に対応する製品開発等を支援することで、さらに成長できる可能性があると判断し、投資を実行しました。
株主を再構成したことで、TAKUMIファンドが大株主となりましたが、同社の経営体制や商号は基本的には変わらず、現在の体制を継続します。TAKUMIファンドは、非常勤取締役を派遣することで、現経営陣とともに、営業支援や内部管理体制強化に取り組み、企業価値の向上を目指していきます。
また、同社と事業面でのつながりが強く、従来からの株主であった、NTTデータ北陸株式会社と沖電気工業株式会社の2社については、引き続き、株主として残り、事業パートナーとして、同社の事業拡大を支援する方向です。 さらに、JPEの親会社であるJAICグループが有する、アジアやアメリカへのネットワークを活用することで海外への販路拡大も将来的に視野に置くほか、国内市場をさらに拡大し深耕させる等、国内外のマーケットの拡大に注力していきます。 -
中小企業における円滑な事業承継のモデルケース
今回、北陸地方において、同社のような中堅企業がMBOファンドを活用して、事業承継問題の解決に取り組むのは初めての事例となります。
同社も無借金経営を実践してきた優良企業ですが、最近、特に、地方において、財務体質は良好で事業も順調でありながらも、後継者問題に悩んでいるという中小企業が増えています。こうした現実に対して、中小企業庁をはじめ、国を挙げて事業承継問題への取り組みがなされつつありますが、今回の同社の事例は、M&Aによる事業売却ではなく、ファンドを有効に活用した事業承継事例として、後継者問題に悩む多くの中小企業に対しての1つの解決策を提示したモデルケースになるといえます。
最近、各金融機関が、中堅・中小企業の事業承継支援業務を強化しはじめるなかで、今回の事例は、大手金融機関や地域金融機関にとっても、中小企業の事業承継支援にあたっての1つのモデルケースになると思われます。 -
TAKUMIファンドについて
TAKUMIファンドは、日本に残すべき"匠"の技術を有する中堅・中小企業を次世代に継承するというコンセプトのMBOファンドとして、JPEとインテグラル社により共同運営されており、これまでにTAKUMI1号、2号ファンドで、合計4社の中堅・中小製造業への投資実績を有しています。
事業承継問題に悩む中小企業は、全国10万社を超えているともいわれるなか、今後、中小企業の事業承継問題の解決策としては、事業会社への売却によるM&Aだけではなく、ファンドを活用した事業承継やMBOが増えてくると予想されます。
JPEとしては、事業承継問題に悩む中小企業経営者に対して、M&Aという解決策に加えて、ファンドを活用した事業承継やMBOについても、もっと知ってもらうべき、活用されるべきであると考えており、"買収"や"売却"といった捉え方ではなく、いかに会社を"継承"していくのかといった視点から、中小企業経営者の事業承継に対する意識の転換を促し、ファンドを通じて具体的な解決策を提供していきたいと考えています。 -
各社概要
森長電子株式会社
本社所在地 石川県金沢市窪4丁目467番地
(登記上本社:富山市千歳町2丁目3番2号)設立 1973年11月 資本金 35百万円 代表者 山本 正 従業員数 39名 事業内容 電子応用システム、耐雷システムの開発・製造・販売・施工・保守 売上高 1.253百万円(2006/7期) 日本プライベートエクイティ株式会社
本社所在地 東京都千代田区九段北1丁目14番21号 代表者 法田 真一 資本金 60百万円 インテグラル・インベストメント株式会社
本社所在地 東京都千代田区平河町2丁目1番2号 代表者 古我 信長 / 鈴木 啓太 日本アジア投資株式会社
本店所在地 東京都千代田区永田町2丁目13番5号 代表者 立岡 登與次 -
本件に関するお問い合わせ先
日本プライベートエクイティ株式会社 企画部
東京都千代田区九段北一丁目14番21号 九段アイレックスビル6F
TEL:03-3238-1726 FAX:03-3238-1639以 上