中小規模の企業にとっては、事業承継が決定的に重要な問題となるのは、
上場企業である大企業のように、その事業の運営形態が高度にシステム化されてはおらず、
適切な後継者となる人材がいない場合には、その事業承継自体が困難、
となってしまうからです。
また、大企業のように企業体力がないために、
数年先の先行きの見通しが立たないとなれば、
事業承継は諦めて、会社を売却するといった選択もしなければなりません。
しかし、会社を売却するにしても、果たして売却ができるものなのか、
また売却できるとしてもその売却価格がどのくらいになるのか、
といった不安に悩まされている中小企業の経営者は、決して少なくないのです。
このように、MBOが導入される背景には、
こうした深刻な問題を抱えている企業経営者の悩みがあるのであり、
中でも、その事業承継そのものが困難となり得る中小企業の場合には、
M&Aによって企業売却を行う場合も含めて、
会社の業績安定化という問題が、
より切実なものとなっているからなのです。
MBOが導入を検討する企業経営者の悩み
というのも、会社を売却するという場合でも、その業績が悪い状態では、高い値で売却することはできませんし、最悪の場合にはその買い手が全くつかない、といったことにすらなってしまいますから、企業売却を行う場合にせよ、会社を好業績が維持できる状態にしておかねばならない、という背景があるのです。
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